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催し物

岩手大学宮澤賢治センター 第91回 定例研究会(2016.7.29)

定例研究会

名 称: 岩手大学宮澤賢治センター 第91回 定例研究会
日 時: 2016(平成28)年7月29日(金)17:00~18:00
会 場: 岩手大学人文社会科学部1号館 2階 第1会議室
講 師: 中村 一基 氏 (岩手大学名誉教授・国文学)
演 題: 賢治童話絵本化の試み
司 会: 山本 昭彦(当センター副代表)
参会者: 名

★例会終了後、18:00~19:00 同階第2会議室にて、希望者により情報交換会(ミニ茶話会)が開催されました。

【発表要旨】
 1980年代、著作権保護が解除になって、賢治童話絵本の出版が自由になったなかで、谷川雁主宰「ものがたり文化の会」が、15冊の賢治童話絵本を制作・発行する。谷川は賢治童話に絵や音楽は必要なく、あえて行うのは〈冒険〉であり、その〈冒険〉に挑戦出来るのは、「第一級の想像力」を持った〈抽象美術家〉と考えた。本講演では、現在、「絵本学会」等で注目されている賢治童話絵本化に関する論議を、谷川の賢治童話絵本化を「立体化」の一環であるというヴィジョンをめぐる、抽象美術家たちとの対話の検討、童話に付された説明的挿絵である賢治童話絵本は、「絵童話」と称すべきこと、説明的挿絵が言葉によるイメージ喚起力を削ぐことで《諸刃の剣》になる可能性があること、テクストの解釈の差異と画像の非対応の問題は、賢治童話の〈隙間〉を「多義的な解釈」とする具象画家と、「美術家・音楽家の居場所」と考える谷川と抽象美術家との意識の差異に関わること、という観点で考察を行った。