名 称: 岩手大学宮澤賢治センター 第93回 定例研究会
日 時: 2017(平成29)年1月26日(木)17:00~18:00
会 場: 岩手大学人文社会科学部1号館 2階 第1会議室
講 師: 長谷川 恭一 氏 (税理士・作曲家)
演 題: オペラ『ゴーシュ』への道程・賢治と私──定盛兼助の孫として生まれて──
司 会: 大野眞男(当センター代表)
参会者: 25名
★例会終了後、18:00~19:00 同階第2会議室にて、希望者により情報交換会(ミニ茶話会)が開催されました。
【発表要旨】
私の本業である税理士の事務所が建つ梨木町の土地は、祖父・高等農林教授・定盛兼助から引き継いだ。昔は様々な木々や野菜畑に囲まれていた。祖父の教授赴任は宮澤賢治卒業後であるが重なる時期があったらしい。母が小学生徒に演じさせた『いてふの実』が児童文化活動をしていた父との出会いであり、私も『告別』を引用して結婚を申し込んだ。新賢治全集発刊の頃、大学を卒業して帰盛。当時魅かれた文語詩が2013年になって紫波町に詩碑建立。母の一周忌に委嘱曲が歌われた。
昨年オペラ『ゴーシュ』を作曲・公演した。幸い皆様に喜んで頂けたが、チラシに賢治の言葉を原文で引用すべく亡き母の書棚から全集の第12巻を抜くと、何かが挟まっている。伯母の娘幸子さんからのお礼の手紙だった。
伯母は妻子ある人との間に子を授かり、二人は別々の人生を歩んだ。2006年に伯母は逝く。戸籍上の相続人は母。翌年幸子さんを盛岡に招き小岩井などを案内した後、伯母の僅かな預金と住まいの土地の売却代金をお渡しした。そのお礼の手紙が「世界がぜんたい幸福…」と書いてある本に挟まっていた。見えない力をこのときほど強く感じたことはない。
▼長谷川 恭一 氏による講演風景