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催し物

岩手大学宮澤賢治センター 第97回 定例研究会(2017.11.24)

定例研究会

名 称: 岩手大学宮澤賢治センター 第97回 定例研究会
日 時: 2017(平成29)年11月24日(金)17:00~18:00
会 場: 岩手大学農学部1号館 2階 1号会議室
講 師: 赤崎 学 氏 (元北里大学非常勤講師)
演 題: 『春と修羅』と、オルゴールの謎
司 会: 田中成行 (当センター理事)
参会者: 28名

★例会終了後、18:00~19:00 同階第1小会議室にて、希望者により情報交換会(ミニ茶話会)が開催されました。

【発表要旨】
 新校本全集の編集者であった入沢康夫は1971年初出の論文「詩集『春と修羅』の成立で」で、現行の『春と修羅』301頁が、一回の清書で成り立ったのではなく、四段階で成り立ったものと考えた。私は、この推理が『春と修羅』の第八章「風景とオルゴール」の性格を捉えるのに、大きな意味を持つと思う。賢治は『春と修羅』の終わらせ方を、模索しながら巻末部の「自由画検定委員」を、「鎔岩流」に変えて、それをさらに「冬と銀河ステーシヨン」に差し替えたと、考える。
 賢治はこの詩集巻末を差し替える作業で、春で始まった詩集を、「冬」で終えることを狙ったのではないだろうか。もう一つ、1980・90年代に、池上雄三、奥山文幸らによって、『春と修羅・第一集』と、『銀河鉄道の夜』を結びつける考えが出されてきた。私は、奥山のように「風景とオルゴール」の章が、もうひとつの『銀河鉄道の夜』であるとは考えない。むしろこれらは対立しあうものではないだろうか。妹トシの死(「無声慟哭」「オホーツク挽歌」)を受けて、片方に死の世界をさまよう『銀河鉄道の夜』の世界が生まれて、もう一方に生の世界への帰還である「風景とオルゴール」の世界が生まれたと、私は考える。

▼赤崎 学 氏による講演風景

岩手大学宮澤賢治センター第97回定例研究会チラシPDF