メニュー

催し物

岩手大学宮澤賢治センター 第103回 定例研究会(2019.1.30)

定例研究会

名 称: 岩手大学宮澤賢治センター 第103回 定例研究会
日 時: 2019(平成31)年1月30日(水)16:30~17:30
会 場: 岩手大学 学生センターA棟 2階 G2大教室
講 師: 馮 海鷹 氏 (中国・清華大学人文学院副教授・日本文学)
演 題: 宮沢賢治 表現のコントラスト ——西洋と東洋の組み合わせ——
司 会: 大野眞男(当センター代表)
参会者: 26+134=160名

★例会終了後、於同階 G2-B教室にて、希望者により情報交換会(ミニ茶話会)が開催されました。

【発表要旨】
 本発表はまず導入部として、賢治文学を他の近代作家と比較することで、宮澤賢治が日本近代文学に置ける特殊な位置付けを説明した。その特徴の一つは近代文学一般に見られる自己への問い詰めが見られないこと、もう一つは同時代の児童文学の中で、最も且つ唯一子供の立場から出発して、子供のための童話を創作したこと、更に三つ目は、賢治作品には聴覚感覚を駆使した音楽感、視覚感覚を駆使した美術、映像感と、内容としてのストーリーの三者が単なる融合、混在しているのでなく、お互い充填関係で繋がっており、三者が揃って初めて一つの作品をなすことを指摘した。
 次に本論として、賢治の作品における西洋が二種類あることを説明した。その一つは作品に出てくる小道具で、一見作品内では副次的な存在のように見えるが、実はストーリー以上に重要であり、その特徴はあるAという東洋的な物事を全く別のBという西洋的物事へ想像力を飛ばす時、両者の間は色彩や形、或いは形式が統一、或いは類似したものの、機能や本質を逆転させる仕組みになっている。もう一つは近代日本を代表する自然科学に基づいた知識で、こちらの要素は小道具とは逆にその本質や機能を必要以上に作品に描くのであることを指摘した。

▼馮 海鷹 氏による講演風景

岩手大学宮澤賢治センター第103回定例研究会チラシPDF