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催し物

岩手大学人文社会科学部 宮沢賢治いわて学センター 第23回研究会(=旧・岩手大学宮澤賢治センター第128回定例研究会)(2023.11.27)

定例研究会

名 称: 岩手大学人文社会科学部 宮沢賢治いわて学センター 第23回研究会
(旧・岩手大学宮澤賢治センター第128回定例研究会)
日 時: 2023(令和5)年11月27日(月)17:00~18:10
形 式: オンライン形式(Zoom Meetings)
講 師: 岡田 浩行 氏(岩手大学教育学部准教授・当センター兼務教員/日本文学)
演 題: 天使表象と同期する雪童子
     ──大正期『赤い鳥』の圏域における宮澤賢治──

司 会: 木村直弘(当センター副センター長)
参会者: 51名

【発表要旨】
 「水仙月の四日」の同時代を見ると、異界の存在が人と再帰的に関係するというアンデルセンのもたらした発想が、文学表現としての天使を発見させ、童話表現として援用され、次第に天使の拡大解釈をともなって、大正期の童話のメディア空間において多様な天使の造形が定着されていった状況が確認できる。大正期 の童話表現において天使は労働する子供・病気の子供、社会的弱者に寄り添う存在として描かれ、天使表象 として周知されるところとなっていったと考えられる。
 そのような文学事象に「水仙月の四日」を配置してみた時に、天使を雪童子へと置き換え、あくまで当初アンデルセンの表現にはあった生と死の境界によって分け隔てられた存在間に、水仙月の四日の一日、“交通”の断片が成立する事実を語ることをとおして、逆説的に“交通”への志向を強調した作品という、「水仙月の四日」の特異性が看取されるのではないか。
 《子供の命を奪う異界の存在》や《非対称性》など、多くの物語の枠組みとともに、大正期の天使表象も その一つとして共有することで童話としての表現可能性を担保しつつ、一方で《再帰性》という点において、「天使」の天使がもった表現可能性を「水仙月の四日」の雪童子へと延伸させ、他の天使表象から自作の表現を画そうという語りの営為が見出せるのではないかと考える。

 

宮沢賢治いわて学センター第23回研究会チラシ.pdf