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催し物

岩手大学人文社会科学部 宮沢賢治いわて学センター 第19回研究会(=旧・岩手大学宮澤賢治センター第124回定例研究会)(2023.5.30)

定例研究会

名 称: 岩手大学人文社会科学部 宮沢賢治いわて学センター 第19回研究会
(旧・岩手大学宮澤賢治センター第124回定例研究会)
日 時: 2023(令和5)年5月30日(火)17:00~18:00
形 式: オンライン形式(Zoom Meetings)
講 師: 大沢 正善 氏(岐阜聖徳学園大学名誉教授/日本文学)
演 題: 「風野又三郎」と『新編農業気象学』
司 会: 木村直弘(当センター副センター長)
参会者: 57名

【発表要旨】
 宮沢賢治は大正十一年度から花巻農学校で気象学を講じることになり、かつて盛岡高等農林教授だった稲垣乙丙の大著『新編農業気象学』(全10篇120節、大5・3)から多くを学んだ。その影響は早速、九月一日から十日までの風の童子である風野又三郎と岩手の小学生との交流を描いた、「風野又三郎」(大13・2以前)にうかがわれる。四日の「サイクルホール」とは『新編農業気象学』で低気圧を解説した「旋風系(Cyclone)」(96節)からの着想だろうし、七日の風が「なくてもいゝ」かどうかの対話は「風の效害」(101節)の解説をなぞり、八日と九日の「大循環」の話は「大循環」(91節)から構想したと見られる。又三郎たちは往路に赤道付近から上昇気流に乗り、少し東行しながらハワイ上空を経て北極圏に至り、帰路には海面近くを北極圏から朝鮮半島に至り岩手に戻っている。当時に気象学者に知られ始めたばかりの偏西風を賢治は知らなかったが、上層下層にわたる大循環の図や日本列島近辺の低気圧の進行経路図を参照しながら、構想を練ったのだろう。農業気象学にとどまらず高層気象学にも関心を示し、特に〈風〉を発見した意義は大きい。

 

岩手大学人文社会科学部宮沢賢治いわて学センター第19回研究会チラシPDF