名 称: 岩手大学宮澤賢治センター 第105回 定例研究会
日 時: 2019(令和元)年5月29日(水)17:00~18:00
会 場: 岩手大学 人文社会科学部1号館 2階 第1会議室
講 師: 増田エレーナ 氏(岩手大学非常勤講師・ロシア語)
演 題: ロシアにおける宮沢賢治文学 の受容の現状と今後
司 会: 大野眞男(当センター代表)
参会者: 27名
★例会前の16:30~17:00、「宮澤賢治センター(岩手大学内)2019年度総会」が開催されました。
★例会終了後、於同階2階第2会議室にて、希望者により情報交換会(ミニ茶話会)が開催予定でしたが、担当者の都合で、急遽中止となりました。
【発表要旨】
2009年に宮沢賢治の30の童話がロシア語に翻訳され、『よだかの星』という題名で出版された。2010年には4つの童話の訳からなる『子供向けではない日本童話』、2012年には『十力の金剛石』と題された訳書が出ている。それらの訳者たちは宮沢賢治の作品に秘められた深さと仏教的世界観を指摘している。ロシアの評論家や日本学者は、宮沢賢治の童話の道徳性や創造性の豊かな世界を高く評価する一方で、宮沢賢治を読むには精神的努力の必要性を主張し、賢治作品が現代ロシア社会で読者に広く受け入れられることの困難さを懸念している。ロシアでのSNSでの書き込みを調べると、一部で子供には読みにくいことや、内容が理解しにくいという声はあるが、神秘性にあふれ、読むと心が安らぐなどという意見も多い。宮沢賢治の童話や詩にはロシアへの関心がみられることから、今後の課題としてこの作家のロシア文学との関係について考えていきたい。