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催し物

岩手大学人文社会科学部 宮沢賢治いわて学センター 第6回研究会(=旧・岩手大学宮澤賢治センター第111回定例研究会)(2021.1.28)

定例研究会

名 称: 岩手大学人文社会科学部 宮沢賢治いわて学センター 第6回研究会
(旧・岩手大学宮澤賢治センター第111回定例研究会)
日 時: 2021(令和3)年1月28日(木)17:00~18:45
会 場: オンライン(zoomミーティング使用)
講 師: 谷口 義明 氏(放送大学教授・銀河天文学)
演 題: 宮沢賢治の宇宙
司 会: 木村直弘(当センター兼務教員)
参会者: 61名+17名(教養教育科目「宮沢賢治の世界」受講生)

【発表要旨】
 2018年の夏、宮沢賢治の童話の代表作『銀河鉄道の夜』を読みました。面白い、不思議、よく分からない。なぜか不思議な読後感のある童話でした。私は天文学者なので、天文学者の観点から読み直してみました。すると、今から百年も前に紡がれた物語なのに、現代天文学や物理学の知識で理解できる内容がたくさんあることに気がつきました。それらをまとめたものが拙著『天文学者が解説する宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と宇宙の旅』(光文社新書、2020年)です。この本における私の結論は「賢治には未来が見えていた」でした。
 今回の講演は、より幅広く宮沢賢治の宇宙観について紹介するため、「宮沢賢治の宇宙」というタイトルにしました。『銀河鉄道の夜』の関連では、光文社新書では取り上げなかったテーマを選んでみました。まず、あまり着目されていない「がらんとした桔梗色の空」の意味です。「がらんとした空」は「天の川銀河のハロー(円盤を取り巻く巨きな構造:賢治の好きな水素の苹果)」、また、「桔梗色の空」は「夜空の紺色」に「夜光の赤」を掛け合わせた「夜空の二藍」。これらの解釈を提示しました。次に『銀河鉄道の夜』の第三次稿に出てくるブルカニロ博士の謎の言葉「プレシオスの鎖を解け」ですが、プレシオスはプレアデス星団(昴)であると考えられています。実は、昴のような散開星団は放っておいても壊れていくので、ジョバンニには「十億年待とう!」という提言をすることで、解決しました。
 講演の最後では、現代宇宙論の知識に基づいて、宇宙の未来予想図について説明しました。ついでながら「銀河系統を解き放つ方法」についても伝授させていただきました。百年前、必死になって宇宙を理解しようとした宮沢賢治へのプレゼントです。喜んでもらえたとすれば幸いです。

▼谷口 義明 氏によるオンライン講演風景

※講演動画は[こちら]でご覧いただけます。なお、オンライン関係のトラブルのためスライドが映っていない部分につきましては、当ページの下にあるスライドPDFをご参照ください。

岩手大学人文社会科学部宮沢賢治いわて学センター第6回研究会チラシPDF
第6回研究会未録画スライドPDF