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催し物

岩手大学人文社会科学部 宮沢賢治いわて学センター 第4回研究会(=旧・岩手大学宮澤賢治センター第109回定例研究会)(2020.1.29)

定例研究会

名 称: 岩手大学人文社会科学部 宮沢賢治いわて学センター 第4回研究会
(旧・岩手大学宮澤賢治センター第109回定例研究会)
日 時: 2020(令和2)年1月29日(水)17:50~18:30
会 場: 岩手大学 学生センターA棟 2階 G2大講義室
講 師: 山口 明 氏(岩手大学理工学部准教授、当センター兼務教員/薄膜材料学)
演 題: 宮沢賢治と周期律
司 会: 小島聡子(当センター兼務教員)
参会者: 29+177名(教養教育科目「宮沢賢治の世界」受講生)

★研究会終了後、情報交換会(ミニ茶話会)が開催されました
(18:30〜19:30 於学生センターA棟 2階 G2-B講義室。参加者:12名)。

【発表要旨】
 宮沢賢治が科学に通じていたことはよく知られている。その賢治の愛読書・片山正夫著『化学本論』の中に「週期系の表」がある。これはちょうど150年前に提唱された、今の「元素周期表」である。賢治は作品や手紙等で実に45もの元素に言及している。
 賢治の描写手法の一つに、幅広い分野の専門用語を用いるということがあり、その意図 は様々な可能性が考えられる。例えば詩「凾館港春夜夜景」の冒頭に、「地球照ある七日の月(半月のこと)」とあるが、この詩作の直前、賢治が函館に着いた日は満月であった。 さらに半月の地球照は実際は非常に見にくい。推敲履歴を見ると、当初は「他は暗い七日 の月」であった。恐らく賢治は、事実は別として、より効果的な描写を求めたのではないか。
同じ「凾館〜」には賢治が好きだった「浅草オペラ」で上演された、「喜歌劇オルフィウス」(「天国と地獄」)の記述もある。そしてその「天国と地獄」のメロディで、全元 素を歌っているのを、現在はネット上に見つけることができる。賢治が生きていれば喜ん だはずだ。
他に「シグナルとシグナレス」の「結婚指輪」と環状星雲と金・銀の偶然の関係、「永 訣の朝」での「二相系」も理系の視点からは非常に興味深い。

▼山口 明 氏による講演風景

岩手大学人文社会科学部宮沢賢治いわて学センター第4回研究会チラシPDF