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催し物

岩手大学人文社会科学部 宮沢賢治いわて学センター 第3回研究会(=旧・岩手大学宮澤賢治センター第108回定例研究会)(2019.11.13)

定例研究会

名 称: 岩手大学人文社会科学部 宮沢賢治いわて学センター 第3回研究会
(旧・岩手大学宮澤賢治センター第108回定例研究会)
日 時: 2019(令和元)年11月13日(水)17:50~18:30
会 場: 岩手大学 学生センターA棟 2階 G2大講義室
講 師: 田中成行 氏(岩手大学教育学部准教授、当センター兼務教員/国語科教育・日本文学)
演 題: 『やまなし』のクラムボンの意味を子蟹の成長から考える
司 会: 小島聡子(当センター兼務教員)
参会者: 30+180名(教養教育科目「宮沢賢治の世界」受講生)

★研究会終了後、情報交換会(ミニ茶話会)が開催されました
(18:30〜19:30 於学生センターA棟 2階 G2-A講義室。参加者:15名)。

【発表要旨】
大正12年(1923)4月8日、地方紙『岩手毎日新聞』掲載の童話『やまなし』は、「私」の2枚の幻燈の、5月と12月の小さな谷川の底に登場する子蟹の兄弟が、5月に 「クラムボン」と呼んだものを、大きく成長した兄弟が12月に「あわ」と呼ぶことを 人間の児童期と捉え、幼児期に当たる子蟹達の幼児語としての「泡」と考えた。大正デモクラシーという民主主義と自由・平等・人権を尊ぶ時代背景に注目し、同じ紙面 の津村順天堂の子ども専門薬「童丸」の広告にも窺える、世界的な「子ども中心の教 育運動」が日本では大正自由教育運動となり、賢治も購読した「赤い鳥」等の子ども のための児童文学が出版され、賢治と同年に生まれ同じ頃発表されたピアジェやヴィゴツキーの児童心理学・発達心理学の成果である幼児期独自の自己中心性の要素の「全てのものに生命が宿ると考える」アニミズムで、詩人八木重吉の1歳過ぎの娘桃子さんが鞠を「いいやあぽん」と呼び成長し「まり」と呼ぶような子蟹兄弟の成長を、やまなしが花咲き実が熟す生長と重ねて考察した。

▼田中成行 氏による講演風景

岩手大学人文社会科学部宮沢賢治いわて学センター第3回研究会チラシPDF