名 称: 岩手大学宮澤賢治センター 第4回 定例研究会
日 時: 2006(平成18)年11月7日(火)17:00~18:00
会 場: 岩手大学情報メディアセンター図書館 2階 生涯学習・多目的学習室
講 師: 亀井 茂 氏 (岩手大学農学部附属農業教育資料館研究員)
演 題: 賢治の得業論文について
司 会: 山本 昭彦(当センター理事)
参会者: 30名
【発表要旨】
賢治は三年生の秋から得業(卒業)研究にとりかかる。最初土壌学の関教授の指導を望んだが、希望者が多く、そこで肥料学の古川仲衛門教授のもとで、関教授の助言も受け専攻実験を行う。その研究対象は火山灰土壌であり、この種の土壌は東北ではもちろん、岩手でも当時不毛の原野として広く分布する腐食を多く含む土壌で、賢治は単に「腐食質土壌」と称しているが、実際は火山灰を母材にした腐食質土壌で、それは腐食質火山灰土壌とも呼ばれたが、今日では黒ボク土と云われている。
二年生の盛岡附近地質調査で、賢治が担当した盛岡の北西地域の大部分は沖積台地(第四紀更新世)であり、その台地はこの種の火山灰由来の土壌で覆われていること、また関教授の研究対象土壌であることも知っていた。賢治もまたその不良「腐食質土壌」の改良を目的に、その土壌の「腐食質中ノ無期成分ノ植物ニ対スル価値」のテーマで取り組んだ。
▼話題提供者の亀井 茂 氏